「ヒュ~。さっすが、容赦ないねェ」
目の前で味方をやられた新政府の兵が武器を構え、こちらも交戦の体勢をとりかけた時、どちらのものでもない呑気な声が降ってきた。
文字通り、上から。
「おい、まさか…」
土方が恐る恐る声のする方を向くと、やはりそれがいた。
崖の上の、永倉。
「永倉新八、只今参上! がはははは」
「ちょっと新八さん何してんです! 仁王立ちしたって全然かっこよくないですし今はそれどころじゃないでしょう!?」
何故か高笑いの永倉と、それを諭す沖田総司。
その背後には息を切らした藤堂の姿が。
え、何ですかこの展開。
「おいテメェら! 助太刀すんならさっさと降りてきやがれ!」
「………」
何で驚かない。
袂を別った仲間がいきなり崖の上から現れるなどあり得ないと思うのだが。
…慣れか?
和早は呆然としたままそんなことを考えた。