司令官室。
総裁と大鳥が戦況を見極めるべく立ち会っていたその室に、慌ただしい足音が近付く。

大鳥は「まさか」と思うも、あの薬が半日で切れるはずがない。

緊急の伝令だろうと構えていたが。



「大鳥さん!」

「土方君!? どうして…!」


まさか、のまさかだった。

息を乱し血相を変えた土方に睨まれ、大鳥は目を泳がせる。

なにぶん、あの強力な睡眠薬を手配したのは大鳥である。
心境としては最悪だ。



「あんたって人は……また余計なことを……」

「い、いやいやいや! 僕は頼まれてちょっと手を貸しただけで……あれ?」



片手で目を覆い「やりおったわ」と呟く榎本に、大鳥はようやく気付く。




「あーあ……墓穴掘っちゃったよ」