「悪い悪い、言うの忘れてたな」





笑いながらそう言っているので、全然悪いなんて思ってないように見える





「じゃあ、地図書いて下さいよ
私、かなり方向音痴なんで」





なので、今の私は少し不機嫌になっていた。




ーあー、完璧にダルくなってきたし




しばらくすると「できた」と、緒形は私に手書きの地図を渡した。




「下手ですね」




見た瞬間に出た私の的確な一言に、少しムキになって緒形先生は答えた。





「うるせぇ、絵は苦手なんだよ」





「でも、分かるんで平気ですよ。我慢します」





「お前、何気に酷いな」





「よく言われます」





その言葉に私が笑顔で答えると、緒形先生は「それ、怖いよ」と笑っていた。