私はその曲に聴き入りながらも
ピアノを真剣に弾くあなたの事を
ずっと、目を離さずに見ていた
そう、目に焼き付けていたんだ
終わらないでと心から願うのに
その曲にも当然終わりがあるんだよね
そして、彼が奏でていた曲が終わると再び音楽室には無音が戻ってきた。
―パタン…
彼が奏で鳴らしていたピアノのフタがしまる哀しい乾いた音が
静かな教室に今度は、虚しく響く
すると、無言で彼は立ち上がり
私と顔をあわせると笑顔を見せ
そして、静かな音楽室を出ていった
私も先に出て行った彼のあとを追って、音楽室の外に出るんだけど…
私はだんだんと遠くなっていく、彼の背中を
ただ、見つめることしかできなかった
そして、その背中が見えなくなると私は床に泣き崩れていた
そして、あなたとの楽しかったたくさんの思い出が頭の中を巡った