教室の中にいる人たちは、もう数えるほどだった。
私たちは、急いで荷物をまとめ
―まぁ、何も入っていないバックを持つだけなんだけどね
教室から出て、鞄を手から提げ廊下を歩いていた。
「夏、あんたもちゃんと気をつけなよ」
とおデコをちょんと叩きながら注意してくれる美嘉は、本当に心配してくれてるんだなと分かったし
「そうだよ〜気をつけなよ〜」
隣にいる亜美も美嘉に続いて、私にそう言ってくれたんだけど
「はい、はい、気をつけま〜す
でも、君たちも気をつけてよね
私より鈍感そうだし〜」
私は照れを隠すために、ふざけて返事をした。
「夏、こっちは真面目に言ってるのに〜」
そんなやり取りをしながら、私たちはカラオケに向かった。
その時の私は、大河内のことなんて一切覚えてなかったんだ。