結局教科書は出てこなかった


『春汰…』


私は春汰になんて声をかけていいかわからなかった


そして体育の時間


『あれ?冬子は?』


どこを見渡しても冬子の姿がなかった


さっきまで一緒にいたのに


春汰も私の異変に気づいて来てくれた


「どうした?夏生」


『冬子がいなくなった!まさかまたイジメなんてないよね?』


私は不安でたまらなかった


これで三度目


この前はトイレに行ったきり帰ってこなくて


冬子はトイレでイジメに合ってた


「大丈夫だ夏生!一緒に探そう」


『でも授業は?』


「それどころじゃないって!」


『…うん!』


私達は先生の怒鳴り声を背に受け体育館を出た