それから数分後、やっとのことで引っ越し先に到着し、母さんは長い運転の為か疲れているみたいで、ぼくはというと、あの、今もこの青空に輝く七色の虹を呆然と眺め続けていた。だが、いつまでも眺めていては事が進まないので、車を降り、引っ越し先の家を眺めた。
引っ越し先の家は、灰色のコンクリートの壁に囲まれた、白い壁と赤い屋根の二階建てで、少し可愛らしい印象が残る家だった。
家具などの荷物はもう届いているみたいだったが、母さんは家に入って早々、適当な所に置いてあったソファーの上に寝転んで寝てしまった。仕方がないからぼくは、二階に上がり、自分の部屋の様子を確かめる事にした。
2階には部屋が二つ、左右に別れてあった。確か母さんが言うにはぼくの部屋は右の方みたいなので、右の部屋の扉を開けた。
部屋は正方形の白い壁に囲まれた4畳半ぐらいの広さで、扉の正面に白いカーテンが掛かった大きな窓が一つ、それと、何故か窓際に勉強机らしき物が置いてあった。
「母さん、ぼくの部屋に
誰かの机が置いてあるんだけど?」
二階から母さんに尋ねると、一階から少し不機嫌そうな声の返事が響いてきた。寝ていたのを起こされたせいだろう。
「ああ、それね。
前に此処で住んでた人がくれたのよ。
アンタの机、古かったでしょう?
だから有り難く貰い受けたのよ
確か、娘さんの机だって言ってたわよ」
ぼくは机に近付き、机を眺めてみた。机はまるっこく、確かに少女が使っている印象を思わせた。
すると、机の端にピンク色の折り畳まれた紙がちょこんと置いてあるのに気がつき、これは何だろう、と手に取り開けてみた。
そこには、ぼくか母さんのどちらかに宛てたメッセージらしきモノと、携帯電話の番号らしきモノが書いてあった。