私は、彼からの電話を待っていた。 彼はあの置き手紙に気付くだろうか。 彼のことは親から聞いただけで、まだ会ったことがないけれど、彼はきっと良い人だと私は自分に言い聞かせた。 期待と不安が私の中を駆け巡る。 窓のカーテンがふわりと微かに揺れ、風が私の髪を優しく撫でた。 見上げると、あの、空に掛かるアーチ。 あれを眺めていると不思議と想えてくる。 きっと、私の願いは叶うのだと。