「好き……です」




「好きだからセックスしたいの?それで満足って、おかしくね?」




「おかしいですか?」



驚いた顔で、キョトンと俺の顔を見上げる。




由果には、つき合いたいとか、彼女になりたいとか、そういうのがまったくなくて。




そんなの、漫画に出てくる登場人物と脳内でやってる奴らと同じじゃねーかと呆れる。





「お前、本当の恋したくないの?」



「本当の恋ですか?!」




「俺が、本当の恋を教えてやるよ。本物はな、楽しいだけじゃねーんだぞ」





この時の俺は、美琴の存在を忘れていた。




俺はおかしかった。





同情?ただの好奇心?




よく分からないが、その時思ったんだ。



俺だって、楽な楽しい恋しかしてねーじゃねーかって。