「クシュンっ」



くしゃみをしながら、由果が起き上がる。



「あ……れ?……。ここは、どこでしょう?」


頭を抱えながら、周りをキョロキョロと見ている。



そして――俺がいるのに気付き、口をぽかんと開けていた。





「分かりました。夢ですね」





「はあ?」





「だって、私は居酒屋にいます。それに、石川君と二人きりで公園にいるなんてありえませんから」




その時――、見た事もない笑顔で彼女は笑っていた。





「……申し訳ないけど、現実。家、どこ?」




「え?……だって、頭がくらくらするし、世界が回って見えますよ?」



「それはまだ酒が残ってるから」




「そ……そうなんですか。ええっと、家は、この先のアパートです……」



彼女は学校の近くに部屋を借りていて、一人で暮らしていた。