【慧人side】



本当に、変わった女だった。



ひょうひょとした態度。



女を媚びるわけでもなく、化粧っ毛もしゃれっ気も無いのに綺麗な横顔。



俺と美琴の事は学校中が知っていて、それでも――という女はいたけど、それともちょっと違っていて。




正面から、そいつは来た。





「私は石川君のファンです。好きです。でも、それ以上の事は望んでいません。なぜなら、あなたの彼女である島根美琴さんの事も好きなのです。二人が幼馴染であるという事に憧れていて、その関係を保っているお二人のファンなのです」



いつもなら、一次会で帰るゼミの飲み会。


今日は途中参加だったから二次会まで残ったら、酔っ払った福島由果に絡まれた。



「おい、福島飲み過ぎだぞ。石川がドン引きしてるだろ」



同じゼミのヤツが、引き剥がしてくれる。



酒を飲んで迫られた事はあったが、女に絡まれたのは初めてだった。



「私は、本心をいつ打ち明けようかといつも考えていました。でも、その機会があったので伝えただけでして……」




「コイツ、酔っ払うと、益々ワケわかんなくなるな」



千葉が、苦笑いしながらグデグデの由果を抱える。