「ねえ、卓真は元カノと友達になれる派?」


卓真は、またアゴヒゲを摩りながら考え込んでいる。



「別れ方によると思うぜ。嫌になって別れるんだったら友達にだってなりたくないだろうし。友達から始まった付き合いなら、元に戻るって事もあるかもしれねーが。俺は、そういう未練がましいの嫌だね」



「男らしーね」



「慧人になんか言われたんか?」



私は下を向いた。



「私には……俺達は友達とか簡単に言っちゃう慧人の気持ちが全然分からない」



「それは、まだお前に『好き』って気持ちが残っているからだろう」



「慧人には残ってないのかな」



「さあ、それはどーだか分からんが、他に興味を持った女がいるんかもな」



「やっぱ……そうなんだ。一旦離れようとか俺達の為にならないみたいな言い方してたけど、もっと真実は単純で、他に好きな女の子ができたんだね」



「まあー、あいつの素行見てると、それも怪しいけどな」




「私が欲しいのは、幼馴染とか友達の慧人じゃないんだよね。いつも側に居てくれて、甘やかしてくれて、守ってくれる慧人。だから……中途半端な『友達』の慧人はいいの。だって……そんなの苦しすぎるじゃない」




「美琴……。泣くなよ……」




「泣いてないよ」



と言いながら、ボロボロ涙を流していた。



私は、最近、泣いてばっかりだ。