次の日、莉玖は学校にこなかった。




杏奈もいなくて、私は大学のキャンパスを一人で歩いていた。




「おーい、そこのちびっ子」



……卓真が手招きしている。




卓真は顎の無精ひげを摩りながら、言い難そうだった。




「まーなんだ。昨日は大変だったな」



杏奈から話を聞いているのだろう。



本当は、私だって学校になんて来たくなかったけど、受けたい授業があったから仕方なく……だ。




「莉玖は、すごく純情で真っ直ぐなだけ。慧人は、軽すぎるだけ。そんだけ」




「まーそうだな」




珍しく、卓真と二人で並んで歩く。



「あいつら、どーしようもねーな。まったく世話が焼けるぜ」



「卓真って、保護者みたいだね」



「保護者みたいなもんだろ」




と、二人で苦笑いをした。