好き。


好き。



好き、好き、好き。



時々みせる意地悪な面も、クールな笑い方も、低い声も、私を扱う優しい手も全部好きだった。



私の17年間は『好き』ばっかりだ。



だから……突然嫌いになんてなれない。



それなのに……。






「あれ?島根さん一人?珍しいね」



電車の中で、慧人と同じ法学部の女の子に会った。



何度か話したことがあるけど、二人きりで話すのは初めてだ。



名前は福島由果さん。



顔立ちも服装も雰囲気も大人っぽくて年上に見える才女だ。



「う、うん。慧……石川君とは、もう別々に学校に行く事にしたの」



私の微妙な反応に、やっぱり……という顔をする。



「最近、彼の態度が変だとは思ってたのよね」


「変って?!」