「そうじゃないケド、俺だって美琴以外の女の子と付き合った事ないし、特別仲良い子とかも作れなかったし。だから、もうちょい世界を広げたいんだ。俺達、世界が狭すぎだろ。町内で一生終わらせる気?」



と、慧人の答えは曖昧だ。



「不安……なんだ。もしかしたら、もっと良い相手がいるんじゃないかって思ってるんだ」



「まあ……率直に言うと、そういうコト」



……最悪。



ホント、最悪。




それなら、もっと早く言ってよ!



私の17年間を返してよ!!!っていう気分でキレた。




「もう、分かったよ!好きにすれば?!」


と、慧人の部屋を走って出て行く。





涙でぐしゃぐしゃになった顔を枕に押し付けて寝る。



こんな……二十歳という大事な年に、今まで築き上げてきたものが一気に音を立てて崩れるとは思ってもみなかった――。