2人で、イタリアンレストランに入る。



杏奈たちと4人で入った事はあるけど、二人で来るのは初めてだ。




莉玖は、ずっと緊張しているみたいで。




会話もぎこちなかった。




まるでお見合いしている人たちみたいに、少し話しては黙ってしまう。



最初は……こんなもんか?



と戸惑う。




私は慧人以外の男の人と二人きりで食事なんて始めてだったし。



莉玖は普段大人しいので、そんなに話し込んだ事も無かった。




莉玖だって……冷静に見ればカッコイイと思う。



そもそも慧人が完璧過ぎて、比較の対象にならないのだ。



柔らかそうな髪、童顔だけど切れ長の綺麗な瞳、育ちの良さそうな優しくて端整な顔つき。



背だって、そんなに低くないし、意識した事がないから気がつかなかったけど、手が大きくて綺麗だった。



「ねえ、ピアノやってたの?」


男の人にしては細くて長い綺麗な指。



「うん。あまり自慢にならないけどね」


と莉玖は頭をかいて照れた。