「お、莉玖が来た」



卓真が手を振って莉玖に合図をする。



慧人と亜衣を見て驚いた感じだったけど、教室の壁をつたって莉玖が来た。




「美琴……ごめん、待った?」


「ううん。全然」


「よーし、んじゃあ選手交代ね。莉玖、後はよろしくー」



と、杏奈と卓真が手を振って立ち去る。





私も莉玖と食事をする約束をしていた。



杏奈たちに、まずは二人での時間を作ってみろと言われたから。



学校では一緒にいるけど、莉玖と二人きりで出かけた事は無かった。





慧人がこちらを見ているのが視線で分かった。



亜衣も、たぶん、こっちを見ている。




「美琴……」



莉玖が、私の髪に触る。



「ピンが落ちそうだよ」



「あ……ありがとう」


たった、それだけの事なのに、赤面をしてしまった。