私には……ペアもんなんて恥ずかしくて付けれないって言ってたクセに……と、心で呟く。




「美琴、大丈夫?」


と、杏奈が心配をしている。



「見ているのも嫌だから立ち去りたいけど、それも悔しいのでどうしようか悩んでいる所」



「うーん、慧人もさ、わざわざこんなトコこないで、どこか端っこでやってよって感じだよね」



周囲に同情の目を向けられた。




私と慧人は大学中の誰もが知っている名物カップルだったから。



「あいつら、別れたんだ」



という無言のプレッシャーに押しつぶされそうだった。





「今夜、どの店行く?亜衣ねぇ、どうせなら初めてのお店がいいかな」



明らかに聞こえるように、大きな声で話している。





「あーあ。見せ付けちゃって。あれ、わざとだよ。感じ悪いねぇ」



杏奈が私の代わりに怒ってくれた。



「私は、別に大丈夫。相手にしなけりゃいいんだよ」



「教室でもベタベタしちゃってさ。慧人って、キャラ違うんじゃない?もっと、クールでカッコ良かったのに」



「あっちが本性なんじゃないの?私にはベタベタする必要ないしさ」

と、席を立ち上がる。