「ねえ~。ショウ!今日オールいっちゃう?」

あー、まためんどくさい奴。
とりあえず適切な対応をとる俺。

「ごめん、今日は忙しいんだよねっ~。急用って奴?」
「うわーっ!なんか嘘っぽーい。用事ってなに?」

本当めんどくさい。

「それ聞いちゃう?言ったらヤバいと思うんだけど。今日は1日中楓の事考えてる予定だったの~!」

うわ、思ってもない事を言ってしまった。
神様、許してくれ…

「もおっ!ショウったら!なら先に言ってくれれば良かったのに~。うちもショウの事ずーっと考えてるねっ。」

おい、待てよ?俺はお前の事考えてるつもりはない。
”うちも”って...勝手に一人で考えてろよ。
俺にだってプライベートってもんがあるんだからよ。

そう言い終わると、楓は教室から出て行った。
楓は4組だから隣のクラス。
わざわざ俺の教室に来る必要性を俺は感じない。

俺の様子を見ていたのか、会話を聞いていたのか
近くに居たマサとカズが近寄ってきた。

「あらあら、ショウちゃん!今日はオールでカエの事考えてるのかにゃ~?」
俺の顔を覗き込むように見てくるマサ。
「んなわけねえだろっ!バーカ。あんなくだらねえ奴の事ずーっと考えてたら吐き気してくるからな?」

周りの奴らには完璧ショウくんを演じているため、
こいつらには普段小声で話すしかない。
まあ完璧ショウくんを演じるのわダルいが、
やるからにはやんないとでしょ?

「なあ、ショウちゃん☆あそこでなんか女の子がお前の事ずっと見てるよ?行って来ればー?」

マサの指差す先に居るのは、誰か知らない女。

「おう。でも俺あいつ知らねえし、一応完璧ショウくんで行って来るからっ!バイのすけ~」
「「いってらあ~!バイのすけー!」」

二人が声を揃えて言う。
完璧ショウくんを演じつつそのこに近づく俺。