「…もういいからさ…とりあえず頭上げて?」



いつの間にか私の隣まで来ていた隼人さんは、困った様な声でそう言った。



「…あ……はい。」



赤くなった顔を見られない様に、返事をしてからゆっくりと頭を上げた。





――隼人さん。

あんなに会いたいと思った人。


その隼人さんが、私を見て微笑んでくれてる。



ああ。

どうしよう、本当に。

本当に心臓がうるさい。

ドキドキうるさい。



なんだか夢心地で、しばらくの間隼人さんを見つめていた。



すると、いつまでもぼーっと立っている私を見兼ねたのか、


「とりあえずさ、座ろうか?」


そう言って、私の椅子を引いて座らせてくれた。