「こんにちは。高原さん、ケーキ食べましょう。」


「あ、はい。ありがとうございます。」



社長が持っているケーキの箱は、バイト先だった店の物。



「ここ久しぶりに行ったけど、高原さん辞めちゃったのね?」


社長はダイニングテーブルにケーキを置いて、苦笑いを浮かべた。


「…はい。掛け持ちはキツくて。」


コーヒーを淹れながら、私も苦笑いするしかなかった。


店長も奥さんも優しかったけど、隼人さんの事務所の手伝いでいっぱいいっぱいだから。




「ごめんね、今や隼人も人気者だから、雑用だって山程有るものね?」


「そんな!社長が謝る事じゃないです!私が決めた事ですから。」



「そう?ありがとう。…私としては、高原さんが居てくれて感謝してるの。隼人は平気で無茶するから。」



そう言って微笑む社長は、優しいお姉さんの顔で。


隼人さんは幸せだな。


なんてほのぼのしてしまう。