女は、おもむろにムーブボタンを押した。

便器にまたがる男は、ときどき「これは」という角度でいいのをもらい“痛い”とか思ったが、声に出したら負けだと本能的に感じた。


そしてこれがSEXプレイの一部であるということをようやく認識するにいたる。

そうであるならここは、言葉だけで互いに意思や感情、思考を伝達し合う方法ではなく、なにか別の手段で相手に訴えかけなければいけないのではないか、と思い。

さらには、これが施しであるなら次は男が女に対して、この施しの対価を、などと考えてるのもつかの間、女はいったん跨跨っていたポジションから離れ、後づさりし、天井からぶら下がる紐を掴んだ。

そして、

その紐を、引っ張った。