「もう、そんなに怒らないの!解決したからいいでしょ?」

大親友の理穂ちゃんがあたしの頭をぽんぽんと叩く。
身長の低いあたしは、黙ってそれに応じながら唇を突き出す。

数時間前――。


「もうっっっしわけありません!」
「はあ!?そんなんで許されるなら今こんなに怒ってないわよ!」

クーラーのきいた店内に響く大声。
他のお客さんも、店員さんもみんながあたしに注目する。

華の女子高生。
高校1年になって、お母さんにもらったお金で部屋を借りることにした。
のに……

「理由は?理由!」
「でっですから……こちらの手違いで、すでに入居者が決まっていたお部屋をご紹介してしまいまして……申し訳ありません」
「はあ……」