「何、笑ってんの?」
少し片眉を吊り上げた幸谷君が私の手を引いた。
「あ、日焼け止め塗らなあかんな。
お前、めっちゃ色白いもんな。」
と、晃司さんから渡されたバッグの中から、Coppertoneを取り出した。
「ほい。
塗れよ。」
火に焼けたらすぐに手渡されたそれをたっぷりカラダに擦りこむ。
「…背中、塗ったるわ。」
徐に私の手からそれを取り上げた幸谷君が私の背中に回って、塗り始めた。
恥ずかしいし、妙にくすぐったいし。
でも、大きな掌の感触が気持ち良くて、自然とそれに身を任せた。
「…よし、塗り終わった。
海、入ろうぜ。」
手を引かれて砂浜を歩く。
ジリジリ照りつける太陽は熱い。
砂浜にキラリと光るものを見つけて立ち止った私に幸谷君が「ん?どした?」と顔を覗きこんできた。