「ここの海な?
変に入り組んだ側道入らんと来られへんから、地元のヤツでもココあんま知られてないねん。」
「そーなんだね?」
「ここらへん、日影やから、荷物置いとこ。
家族連れしか居らんから、パーカー脱いでもええで?」
「あ、うん。」
私はパーカーとジーンズをコソコソと脱いで、木陰の下に畳んだ。
その横でパッと着ていたタンンクトップを脱いだ幸谷君がそれを私に持たせていたビニール地の鞄を取り上げた。
そしてその中から、レジャーシートを取り出した。
「この上に置した方が汚くならへんよ。」
「うん、ありがと。」
晃司さんのお店にバッグを置かせて貰ったままの私は、お店を出しな、晃司さんにこのビニール地のバッグを手渡されていた。
「アイツ、ここまで気ぃつかんからね。
日焼け止めも入ってるから、使うとええよ。」
そう言って片目をいたずらに閉じた晃司さんを思い出して少し頬が緩んだ。