広い海岸線から側道に逸れた。
見たことも無い風景が横を流れる。
少し薄暗い雑木林が鬱蒼とした道は舗装されていなくて、単車の振動となってダイレクトにカラダに響いて来る。
何となく不安になって私は幸谷君のお腹に回していた腕に力が籠った。
その薄暗い場所はすぐに晴れて、視界が急に明るくなった。
眩しくてヘルメットの中、目を細めた私。
…うわ…、綺麗…
雑木林の向こうに、キラキラ青い海が見えた。
「ここ、一個目の秘密の場所や(笑)。」
単車から降りた私の手を引いた幸谷君の背中を眺めた。
少し早足で横に並んだ。
傍に居たい…。
「でも、やっぱ、人は来てんなぁ…」
「うん、でも、凄く綺麗な海…。」
勘当をそのまま口にした私に、幸谷君が視線を下げて少し得意気に口端を上げたのが横顔でわかった。