「…あ、うん。」
「向日葵いっぱいやで?
向こうの丘。」
チッって舌打ちした幸谷君が晃司さんを睨んだ。
「…せっかく内緒にしてたのに…」
そう口を尖らせた幸谷君に「内緒ってなんやねん(笑)って笑う晃司さん。
「…愛子、花、好きやって言うてたから、驚かそう思っとったのに…。
代無しや…。
最悪。」
私の髪に顔を埋めてそう呟いた幸谷君に「…内緒の場所って、向日葵いっぱいなの?」と、問いかけると、少しの沈黙の後「…ん、小さい海岸のな、ちょっと向こう側に、一面向日葵の咲いてる場所あんねん。海で遊んだ後、そこへ連れて行こうって画策してた…んよ、俺。」と、小さな声で教えてくれた。
私の為に色んなことを考えてくれていた幸谷君に胸がキューっと締めつけられた。
また、感じる甘い痛み。
「…嬉しい。
連れて行ってくれる?」
「当たり前。」
私はそっと幸谷君から離れて、「水着着替えなきゃダメ?幸谷君と海で水遊び…したいな。」と、聞いてみる。
自分でも驚くくらい素直な甘い声が出た。
「…俺の傍にずっと居れよ?」
「うん。居る。」
私は、水着の上に持っていた黒いパーカーを羽織った。
巻きつけていた丈の短めのパレオを解いて、ジーンズを履いた。
「これでいい?」
「…お好み食ってから行こう…か。
単車で10分くらいやから。」