動き始めた電車。

この15分間。

大好きな本を見る時間にあてていた。

読むんじゃなくて見ると言う方が妥当なお気に入りの本は、詩集。

写真に詩が添えられたそれを本屋で見付けた私は一目惚れして買った。

今、五冊揃った。

お気に入りの写真や、詩を眺めてるだけで、私を空想の世界へ連れて行ってくれた。

言葉が優しいのに切なくて、甘いのに苦しい。

まだ恋を知らない私は、その奏でられる言葉と写真に、色んなことを空想して胸が苦しくなったり、やるせなくなったりした。

現実じゃないから、恋に焦がれて、勝手に苦しくなったりしていた。

でも、それは本を閉じたらお終い。

空想の世界も幕を閉じる。

私の中に、何にも痛みなんて残さなかった。

だから、大好きな時間。

ライトグリーンのマドラスチェックのブックカバーは、東京の友達がこっちに来る前にお揃いで作ってくれたもの。

それを手に取る度にちょっぴり胸がキュッとなる。



元気かな…、すずちゃん。




垣平 鈴ちゃん。



幼稚園からの親友を思って、最近弱い涙腺がまた刺激された。

それを誤魔化す様に、本を開いて、目を落とした。



綺麗な風景写真

それに添えられた詩。


私を知らない世界へと誘ってくれる…。