言葉に出来ないもどかしさと不安に、気持ちが曇る。
上手く気持ちを表現できなくて涙が零れる私を、幸谷君がそっと抱きしめてくれた。
「あんまりな?
人のけぇへん(来ない)海やねんけどな。」
突然、私の頭に顎を乗せた幸谷君が言葉を私に向けた。
「……うん。」
「でもな?
俺ら二人っきりって訳でもないと思うねん。」
私の首に結んだリボンの裾をツンツンと軽く指先で引っ張りながら幸谷君が言葉を繋げる。
「…そりゃそう…だよ。」
「だから、嫌やねんて。」
「…嫌?」
「ん、めっちゃ嫌や。」
少しだけ語気を荒げた幸谷君が私をぎゅーって抱きしめてきた。
ドキドキ胸が鳴る。
でも、幸谷君の腕の力があまりに強くて…
「ッッ///、苦しいッッ…///」