「ママ、行って来ます。」
自転車を駐車場から出した少しだけ、緊張のG.W明け、最初の日。
最寄駅は、小さな駅。
私の住んでいる新興住宅地にある自宅から自転車で少し早めに漕いで10分と少し。
天気の良いこんな日は、自転車。
雨の日は、パパが職場に近い学校まで送ってくれるんだけど。
自宅から駅までの道程がこの街に越してきて一番最初に気に入った場所。
線路沿いの道はどこか懐かしくて、レトロ。
満開だった桜の木も、今は、新緑。
それが朝の陽ざしを浴びて、昨日の夜降った雨の雫をキラキラ光らせていた。
この日、いつもより少し寝過ごしてしまった私。
送ってくれるって言うパパを断って私は迷うことなく自転車。
だって、凄くいいお天気なんだもん。
天気の良さの誘惑に負けた私は、自転車。
だから、いつもの乗る時間の電車には、間に合わない。
自転車だと、次の電車になる。
次の電車だと、駅から速攻バスに乗り換えても、始業のチャイムギリギリかも…。
これに乗り過ごしたら完璧遅刻だ…。
次の電車に乗り遅れないように、新緑の桜の樹を横目に少し早めにペダルを漕いだ。
座れた…。
ホッと一息吐いて、鞄のファスナーを開いた。
二両編成のローカル線に揺られて、学校へ向かう。
降りる駅まで、15分。