自転車の荷台。
幸谷君の学生服の裾を摘まんでみる。
広い背中。
大きな肩。
「なあ、愛子ぉ。
今日みたいに、女とかに嫌なこと言われたら我慢すんなよ。
全部俺に言えな?
俺が守っちゃるから。
やから、俺んこと、避けたりせんとってな?」
不安も
切ない思いも
全部、今日から。
愛しさも
恋しさも
全部、今日から。
「絶対、俺が、お前の事守るから。
俺は、愛子だけやから、それだけは、信じて欲しいんよ…」
「…うん。」
ギュッと摘まんだ学生服の裾。
この大きな背中に私はこれから守られるんだと、思った。
act1.一目惚れ…引力…end