「ああ、チャリで10分くらいかな。」







「…へぇ、近いんだね。」







「そうやな。

俺ン家、駅から近いな。」






そっと目線を幸谷君に這わせると、その横顔に胸がキュンとなった。

見上げた横顔は、顎のラインが綺麗で、風に攫われた前髪が、隠れていた目尻の小さな黒子を晒した。

また胸が高鳴る。







…綺麗な顔だな…

…少女漫画の中に居そうだよ、ホントにかっこいい人だな…







幸谷君って背が高い。

身長が160センチ足らずの私は、幸谷君の肩くらいしか無い。

見た目細身なのに、近くで感じる幸谷君は大きくて、私と違う男の子の幸谷君にドキドキした。

当たり前なのに、自分とかけ離れた幸谷君にドキドキ胸が鳴りっ放しだった。





でも、それは幸谷くんだから…だよ。







「…ん?

どーした?」







見惚れてた自分が恥ずかしくて、私は「何もないよ…」と首を横に振った。







幸谷君は男の子だと意識して、

カッコよすぎる幸谷君に私は自分の感情を持て余してばかりだった。