私より20センチ以上も背が高い幸谷くんが、凄く儚く思えた。
まるで、小さな子供が、初めて経験する出来ごとに躊躇するように、その戸惑いの色を隠せない幸谷君が、私には、すごく近い存在に思えた。
「幸谷君の…こと、教えて?
あたし、あなたのこと何も知らないから…」
俯いた幸谷くんの髪は蜂蜜色。
サラサラで綺麗。
それが揺らいだ私を見上げた幸谷君の綺麗な瞳にまた吸い込まれる。
胸が大きく脈打つ。
ドクン…ッ
間近で見る綺麗な瞳は、くっきり二重で、切れ長。
意志の強さを示すような、力強い瞳に、一瞬で取り込まれた。
「俺も、愛のこと、知りたい。」
ジッと私を見つめるその瞳の強さは、私の弱い部分までも全部見透かされそうで、私は視線を外した。
「でも、もう、帰らなきゃ…」
逃げるように視線を腕時計に向けた私は、ホントに弱い。
恋にも
男の子にも
まして、初めて好きだという知らない感情を見つけた私は、その当事者の男の子相手に、私は、どう対処して良いのかなんてわかる術も無かった。