私の手を繋いだまま、歩き始めた幸谷くんの背中を眺めた。
広い背中。
茶色い髪は、少し襟足が長くて、外に跳ねらかしてる。
「愛…?
別れるとか、言うなよ。
俺、お前の事、傷つけてもよう離したられへん…から。」
小さな公園。
煤(すす)けたグリーンのベンチ。
「ごめんな…。」
少し離れて座った私と幸谷君。
それでも、手は繋がれたまま。
別れる…とか、
傷つくとか…
傷つけられるとか…
恋を知ると苦しいことばかりなのかな…
黙ったままの私に、幸谷君はポツリポツリと言葉を紡ぐ。
ただ、私がわかったこと…
繋がれた手が、すごく
安心できたこと。
そして、それを離したくない私が確かに居ること。