窓際の席から、少し向こうに見える正門を見ると、学ラン姿の男の子が塀に寄りかかって立っているのが見えた。
茶色い髪。
背の高さ。
胸が高鳴る。
「ほら、愛子、早く行き。」
沙穂ちゃんに急かされて、私は鞄を抱えて、教室を飛び出した。
「あ…」
私は、もう一度教室に戻って、三人の前に駆け寄った。
「今度、寄り道、絶対誘ってねッ。」
そう伝えた私に、笑顔の三人が優しい。
「当たり前やん。
愛子には、いっぱぁーい、尋問せなあかんしぃ(笑)。」
「ほら、早く行かんと。
先輩、困るで?」
莉子ちゃんの声に、私は、小さくバイバイして、靴箱へ走った。