「ええな、それ、めっちゃ楽しそうやん。」
「うん、作りたい。」
沙穂ちゃんの提案に、ノリノリの裕子ちゃんと私。
「何の相談してんの?」
莉子ちゃんも加わって、楽しさ倍増。
「愛子、このクッキーの作り方教えて。」
「うん、いいよ。超簡単。」
「光喜に上げよう♪」
「こうき?」
語尾に音符を飛ばす沙穂ちゃんに私は小首を傾げた。
「ああ、愛子は知らんよな?
沙穂の彼氏やねん、光喜って。
先週、告られて、つきあいだしたんやんな?」
裕子ちゃんの声に満面の笑みの沙穂ちゃん。
「二工やねん、幸喜。幸谷先輩と一緒。
でも、幸谷先輩より一個下になるわ。
ウチらと同じ年で、ウチと同中やってん。」
幸せそうな沙穂ちゃん。
彼氏か…。
私も…
幸谷くん…。
でも、なんかピンッと来ないや…。
沙穂ちゃんの自然な感じ…、いいな…。
でも、私には、まだ遠い。