秋風…
ヒラヒラ舞う落ち葉…
挿し込む木漏れ日…
「髪、綺麗…」
雅斗くんの髪にそっと指を乗せる。
その手をギュッと掴まれて、「話逸らすん、上手いな。」と、口角を上げた雅斗くんにまた見惚れた。
涼しい瞳。
「あんま、ジッと見んなよ…。
俺、おかしくなるわ。」
「へ?」
クスッと笑った雅斗君が、「やっぱ、まだ、ええわ…。」と意味不明な独り言をつぶやいて、体育館の扉を開いた。
歓声
熱気
耳をつんざく大音量。
雅斗くんの手をギュッと握った。
大きな背中。
それ越しに舞台の上を見ると、いつも雅斗君と一緒に居る友達がいつもと全く違う雰囲気でそこにいた。
手を繋いだまま
雅斗君とステージを見た。
女の子の歓声
ステージの上、マイクを握る郁くんは、いつもの郁君の何倍もカッコ良く見えた。
演奏が終わって、興奮冷めやらない体育館に郁君の声が響いた。