雅斗くんに手を引かれて歩く雅斗君の学校。

殺風景な感じの学校も文化祭の今日は活気づいていて、色取り取り。

すれ違う人が私たちを見る気がする。




軽く会釈する人

目を逸らす人






きっと、雅斗くんの所為…






この学校で一番強い雅斗くん…






それをまざまざと見せつけられる気がした。






「体育館、ここやねん。」





漏れる音。

歓声。






「凄いやろ?

アイツらのバンド、めっちゃ人気あるらしいわ。」






「郁くん、カッコいいもんね?」






そう答えた私に雅斗くんが顔を顰めた。






「俺のが、かっこええやん?」






可愛い(笑)。





前髪を弄って、俯いた雅斗くんが可愛くて、頬が緩んじゃう。






「雅斗くんが、一番かっこいい…よ。」





バカみたいに甘い雰囲気がくすぐったくて、心地良い…。





体育館の大きな扉の前。

肩に置かれた手。

近づく雅斗くんの綺麗な顔…





チュッ…





触れる唇。





「…やっぱ、見に行くんやめよーぜ。」




「…どうして?」




「いろんなこと我慢…きかん…」