「お前、何なん?」
「ただのクラスメートですけど。」
「コイツに馴れ馴れしーせんとってくれや。」
「じゃあ、一人にせんとって下さいよ。
隙あらばですから、俺(笑)。」
掴まれた腕が痛い。
「コイツは俺んやぞ。」
「見たらわかりますけど。」
「ほんならちょっかいだすなや。」
私は雅斗くんの背中を見た。
学生服の広い背中。
この背中に守られたいと思うのに、どこかに不安と違和感を感じてしまう。
不確かな闇が見え隠れする関係が歪な切なさをいつも残す。
色んなことの違い
「七原くん…。
ありがとうね。ここから雅斗くんと、居るから大丈夫だよ。」
心にある小さな一粒の真っ黒な染みを隠す様に、私は雅斗くんの背中越しに七原くんに声をかけた。
「…そっか…?
ほんならええけど…」
七原くんの声に胸がギュッと絞られたのは何故なんだろう…。
同じクラスで、家が近いだけ。
家が近くても学校以外で会うことなんて皆無。
学校でも滅多に話すことも無いそんな人なのに…。