肩で少し息をして、呼吸を整えながら、
私を見据える射るような視線は、身震いすらしてしまうくらい冷たい。
「高杉、彼氏?」
七原くんの声に、私より先に雅斗くんが反応した。
「そーやけど?」
私の右腕を掴んでどこか威圧的な低い声の雅斗くんに私は言葉が見当たらない。
雅斗くんが怖い。
こんな雅斗くんを私は知らない。
「高杉、大丈夫か?」
勝手に震えるカラダ。
弱くてズルイ私はこのどうしようもない雰囲気を打破する手立てなんて見つからない。
ただ、戸惑うだけ。
ふわりと頭の天辺が暖かくなった。
雅斗君の存在なんか無いように、私の髪を一撫でした七原くんの掌は暖かくて、どこかホッとするものだった。
懐かしいような
そんな感じ。
一瞬のことだからか、まるでそれに嫌悪感なんて感じなかった。
「おい、勝手に人の女に触んなや。」
私を雅斗くんの後ろに隠す様にズイッと、前に出た雅斗くんが今にも掴みかかる勢いで七原くんに、言葉を投げた。
「余裕、無いっすね?」
雅斗くんの威圧なんてやっぱりどこ吹く風の七原くんは、どこか挑戦的な言葉を雅斗くんに向けるから、私は、苦して、居心地が悪くて、それでも戸惑うしか出来ない最悪な私。