情けない私は皆に視線を彷徨わせる。

沙穂ちゃんは光喜君と楽しそうに笑ってる。

莉子ちゃんも知り合いが居てその子達と話してるし、裕子ちゃんも仲良しの男の子がいるみたいで皆各自楽しそうにしてる。

声、かけらんない…。

私はこの雰囲気に馴染めないままたこ焼きを持って立ちつくしてるだけ。

何やら男の子たちは話しかけて来てくれるけど、上手く応対できない私。

自己嫌悪…。

雅斗くんが彼氏になって、男の子…大丈夫になったのにな…。

でも雅斗君以外の男の子、やっぱり苦手…。






「でも、姫は、キングのもんやから。
君たち、あんま姫のこと囲ってたら殺されんで?」






沙穂ちゃんが私の傍に来て、男の子たちをやんわり牽制してくれた。






「そーいや、今日は幸谷くん見かけへんなぁ。

郁也くんは、バンド出るから早くから体育館に居てんの見かけたけど。」






「ああ、部室にも居らんかったわ。

あの人こんなイベント嫌いやから、今日はフけてんの違うん?」






「バンドとかも興味無さそうやもんな、あの人。」






ええ、そうなんだ…。

男の子達の言葉に落胆する私。






「ってことで、姫、俺と一緒に回ろ?」






さっきの赤い髪の男の子が私の肩に腕を回してきた。






あり得ない。






ドカッ…






「痛ぇッ、…うわ、ごめんなさい、冗談っす、冗談。」






いきなり蹴られたらしいお尻を擦りながら赤い髪男の子が苦笑いを浮かべて私から離れた。






「…冗談で済むか、ボケ。」





低く怒りを纏った声は人を威圧するには充分で…。

ふわりと引き寄せられた。

鼻を霞める甘い香り。






私はカラダの力を解いてそのままそっと寄り添った。