「あ、沙穂ちゃんと光喜くんだ。」
私のお兄ちゃんで妄想して、一人違う世界に飛び立った莉子ちゃんを尻目に私は、前方に可愛い笑顔いっぱいの沙穂ちゃんと、噂通り髪が金色の光喜君を発見した。
「沙穂ちゃん、嬉しそうだね?」
「うわ、ホンマに金髪やし…。
張り切り過ぎのホストみたいや。」
「張り切り過ぎのホストって…、」
「それか、牙の取れたライオン?」
自分で言って笑う莉子ちゃん。
牙の取れたライオンって…
「身なりばっかし、強そうやん?
でも、チワワやし、」
「光喜君、そんな弱そうじゃないよ?」
「…強ないやん。
絶対、沙穂の方が強い。」
…それ、ちょっと、同感。
「ほら、愛子やって、今、そう思ったやろ?」
ゲラゲラ笑う莉子ちゃんが、変に夢見る乙女な莉子ちゃんからいつもの莉子ちゃんに戻って、光喜君を貶す。
うん、莉子ちゃんは、こうだよ。
光喜君は、ちょっと可哀そうだけど(笑)。
「愛ちゃん、来てくれたん?」
満面の笑みの光喜君が莉子ちゃんと私の傍に駆け寄って来た。