♪~






「…お終い。」






ギターをコトッと置いた音が聞こえた。

背中がふんわり温かくなった。

うなじに感じる柔らかな感触。






背中越し抱きしめられてる。

それに高鳴る鼓動より、切なさに胸が締めつけられて、顔を上げることが出来ない私。

そんな私に背中越し、うなじに唇を寄せていた雅斗君が言葉を紡ぎ始めた。






「俺な?

おかんの顔知らんねん。

親父は、俺が小5ん時死んだから、まあ、色んなこと覚えてるけど。」






「…ん…、グスッ…」






ポンポンッと私の頭をあやす様に撫でながら雅斗くんは話を続けた。







「おかんは、俺んこと産んでちょっとして病気で死んだらしいねん。

でも写真一個無いんよ。

親父の何番目かの女が全部捨てたんやって。

ガキの俺に要らん話聞かせて来る大人いっぱいおったから、俺の周り。

味方はばあちゃんだけや、思っとった。

あ、晃司兄ちゃんと(笑)。」






淡々と話す内容が、酷く怖い。

でも、聞かなきゃと思った。







「兄ちゃんとばあちゃんが居ったから、俺、普通の人間でおれた。

やないと、俺、滅茶苦茶やったと思う。

…まあ、あんま上等な人間でもないけどな(笑)。」






そんな乾いた声で笑わないで?






私は雅斗くんの腕を解いて、膝立ちで雅斗くんを抱きしめていた。

無意識…に。






ただ、雅斗くんを抱きしめたいと心が叫んだ。

それに私のカラダは意思なんて関係なく勝手に動いた。