小さな部屋の中。
開け放たれた窓から入ってくる優しい秋風が、雅斗くんの髪をサラサラと揺らした。
色んな傷
心の傷
腕にある火傷の痕
切なくなった
苦しくなった
垣間見る雅斗君の凍るような冷たい瞳。
決して私に向けられたことは無いのに。
こうして雅斗君と過ごす時間が増える度、見える闇。
聞けない
怖い
でも、好き…
私のお腹に回ってる腕、袖が捲れてる所為で見えた知らないふりの火傷痕。
歪な凹凸。
ケロイド。
小さなそれは、はっきり分かるのが二か所。
薄らしたのが後少し。
古い傷…。
…この傷痕は?
…痛かったね…
切ない痛みを胸中に隠した。
そこから視線を外して部屋を見渡すと、目に入ったギター。
「あ、れ、お兄ちゃん持ってるのと、同じ?」
良く自慢してたから覚える。
お兄ちゃんが学生の頃、ずっとバイトしてやっと手に入れたとかなんとか言ってギターと似てる。