あまり使われた形跡の無い台所に、買ってきた食材を並べてると、隣に雅斗くんが立った。
「手伝う。」
「出来るの?」
レタスを二枚千切った私がクスクスと笑うと、「…シャワー浴びて来てもええ?」と、鼻を擦りながら聞いてきた雅斗くん。
「うん。ゆっくりどうぞ。」と私は答えて、料理に取りかかった。
広くないキッチン。
少し埃が被った大きめのフライパンを洗って、置いてあった真新しい布巾で拭いた。
玉ねぎを炒めて、冷ましてる間にサラダを仕上げて冷蔵庫へ入れた。
冷蔵庫の中、コーラと牛乳、それにビール缶が何本かと、あまり見たことの無いお酒のボトル。
何故かプリンが二つ。
後は、マヨネーズと、6Pチーズ。
いつもどんなもの食べてるんだろう…
私の作ったお弁当を毎日食べてくれる雅斗くん。
好き嫌いのない雅斗くん。
ボールにひき肉をトレーから移して、卵を一つ、それにパン粉に牛乳…
塩とか、胡椒ってあるかな…?
台所の周りを見渡す。
あ、これ、塩だよね。
黒コショウ…なんてあるんだ。
小さなボトルに入った食卓塩と、胡椒を見付けて、ホッとしながら、炒めた玉ねぎもボールに移した。
間にチーズを挟んで、手のひらサイズのハンバーグを4個作って、熱したフライパンにそれを並べた。
ジュー…
「めっちゃ美味そうな匂いしてる。」
タオルを首にかけた雅斗くんが私の傍に来た。