抱きとめられた視線の先、こっちをジッと見据える綺麗な瞳。
私はそこから目が離せなくなった。
綺麗なアーモンド形の瞳が射るようにこちらを見ていた。
長い前髪が、その瞳を隠した。
でも、その前髪を少し頭を振って、そして、指先で避けた彼は、また、こちらに視線を向けた。
時が一瞬止まったように感じた。
雑踏がかき消された気がした。
何も耳に入ってこない…。
まるで、ココに居るのが二人だけのような錯覚すらしてしまう。
ただ、その男の子から目が離せなくて…
しばらく見詰め合っていた。
吸い込まれそう…
胸が高鳴った。
「おいおいおいおい。
雅君、愛ちゃん…。
君たち、こんなとこで、見せつけるんやないですよ(笑)。」
さっきの騒がしい集団の一人が私と、男の子の傍にしゃがんだ。
「煩ぇ…。
あっち、行っとけ。」
「へいへいへいへい。
じゃあね、愛子ちゃ~ん。」
金髪のその男の子は、手を振って、他のニヤニヤしてる男の子を引き連れて、駅のエスカレーターを降りて行った。