クツクツ喉を鳴らしながら私の後を着いて来る雅斗君に、小さく溜息を落としながら私はレジに並んだ。

少しの買い物。

暖かいご飯。

私にはとっても些細なこと。







「俺、すんげぇ幸せや…って思う。」







白いレジ袋を持った雅斗くんが私の手をギュッと握った。

暖かい手。

大きな手…。







「幸せ?」







夕暮れの街。

二人で歩く道。







「バス乗んないでも、歩けるもんだね?」







「そうやな。」







ささやかな時間がかけがえない。








「あ、あのボロいアパートやねんけど、入ってくれる…か?」







雅斗くんが少しだけ声を落として指したのは、二階建てのアパート。







「入っていいんでしょ?

入んなきゃ、ハンバーグ作れないよ。」