「名前で呼んだら…ダメ?」





幸谷君のすぐ傍にしゃがんで顔を覗き込む。

でも、膝の間に顔を埋めた幸谷君の表情はやっぱりわかんないけど、くぐもった声が私に優しい言葉を紡いだ。






「…名前で呼んでええよ。

ってか、名前で呼んで欲しかったんよ…俺。」






「雅斗くんって、呼びたかったん、あたしも…」





そっと、ふわふわの髪を触る。

つむじが二つ(笑)。

きっと、やんちゃで聞かん坊だったんだね。






「チーズいっぱい入れて?」





そっと顔を上げた幸谷君の…、雅斗くんの顔はほんのり上気してるように見えて、可愛い…と思ってしまう。

そのまま髪をよしよししながら、「うん、了解。」って答えると、少しだけ口を尖らせた雅斗君が不機嫌そうに立ち上がった。






「俺、ガキちゃうし。」






「フフフッ…、そうだね?」






拗ねた表情がたまんない。






「…家帰ったら、いっぱいキスさせろ。」





う…、意地悪に口角を上げた雅斗くんに、ドギマギ…。





「なんで、そんなこと言うのかな…」





先を歩き始めた私の後ろを雅斗くんがカートを押しながら着いて来る。





「愛子が俺の事可愛いとか言うからやん。

俺、可愛いことないん教えやんとあかんやん?(笑)。」