手を繋いで、立ち寄ったスーパーマーケット。
「俺ん家、何も材料ないわ…。」
「じゃあ、カート押そうっか?」
「…俺、押すわ。」
白い夏服のセーラー服の私と、着崩してても白いカッターシャツに学生ズボンの幸谷君は、スーパーマーケットには似合わなくて、少し感じる視線が痛い。
でも、そんなの別段気にする風でもない幸谷君は、「ハンバーグって、ひき肉やんな。」なんて楽しそうにカートを押す。
「うん、ひき肉と、玉ねぎ。
サラダも食べる?」
玉ねぎをカートに一つ入れて、レタスを手に取った私に幸谷君が「トマトのサラダ、食いたい。」って答えた。
そして、カートにトマトを二つ入れた。
「二つも食べるの?」
「俺、トマト、好きやねん。」
「レタスとキューリも買うね?」
「ええよ。」
なんか楽しい。
なんか幸せ。
どこか胸がチクチク切ないのに幸せ…。