学校帰り。

バイトがお休みの幸谷君と待ち合わせ。






「塾、何時からなん?」






「今日は七時だよ。」






「…俺、送ったらあかん?」






「塾に?」






「おー。

帰りも家まで送るし。」






私は両手を横に思いっきり振って恐縮。







「いいよ、いいよ。

駅までお父さんかお母さん迎えに来てくれるし。」







そう答えた私の手を徐に繋いだ幸谷君が繋いでない方の手で自分の髪をガシガシ掻いた。







「なあ、今日は、俺ん家で、晩飯食えへんか?

ってか、お前に作って…貰いたいんやけど…」







ブツブツ小さな声で呟いた幸谷君のお願いに胸がキュンと音を立てた。

一人きりが多い幸谷君。

幸谷君のお話でそれは知ってたこと。

親代わりのおばあさんが亡くなってから、幸谷君は一人暮らし。

まだ、一度もその家に言ったことはないのだけど…。







「…あかんか?

飯食ったら、塾送ってくから。

お前の弁当美味いから、暖かい飯…食いてぇな、思ったんよ。」